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なぜがんになるの?


私たちの体は細胞のかたまり

私たちの体は小さい細胞が集まって、互いにいろいろな働きかけをしながら機能しています。人間の体はおよそ60兆もの細胞が集まって作られています。その60兆もの細胞も、はじめは受精卵という1つの細胞だったのです。それが精子と合体してどんどん分裂を繰り返して、人らしい形を作り、人らしい機能を備えていくのです。


細胞分裂 をコントロールする遺伝子

私たちの細胞はでたらめに分裂しているのではありません。脳の細胞になるところは脳の細胞に、皮膚の細胞になるものは皮膚の細胞にと、それぞれ特有の形、機能をもつように分裂していきます。この分裂を正確に指示する役目を持った設計図が遺伝子です。遺伝子には人間の機能に必要な情報がすべて書き込まれており、1つの細胞の中に1組の遺伝子が必ず入っています。

たとえば皮膚細胞には皮膚細胞で必要な遺伝子情報しか使わず、ほかの情報(脳や内臓など)は眠った状態になっています。そのおかげで怪我で皮膚を傷つけたときも、皮膚細胞が遺伝子の設計図を参考に、新しい皮膚を細胞分裂によって再生して傷を治すのです。

人間の体の細胞は最も長生きの細胞でも約半年で寿命がきます。寿命が来た細胞は死に、死んだ細胞の代わりに新しい細胞を作ります。自分では気づきませんが、体の中では毎日新しい細胞と古い細胞が入れ替わってるのです。皮膚から出る垢は、まさに寿命のきた皮膚細胞です。半年前のカラダと現在のカラダは、頭の先からつま先までそっくり新しい細胞に生まれ変わっています。


正常に分裂できない不良細胞

このように体の各部分でそれぞれの細胞が遺伝子の設計図に沿って、その機能にあった細胞を分裂して再生しているわけですが、この遺伝子に傷が入っていたらどうでしょう。その傷が入った遺伝子を持った細胞は正しく分裂ができないことになります。

普通ほとんどの遺伝子の傷や異変は細胞の中で修復されます。傷ついた遺伝子を持つ細胞は自分でその傷を修復できない場合は、正しく分裂ができずに異常な分裂をし始めます。

この異常な細胞分裂をするものが、不良細胞です。細胞が異常な再生をするようになると体の防衛反応である免疫細胞がそれを攻撃するような働きをします。実際、われわれの体の細胞はかなりの確率で傷が入りおかしな分裂を起こしていますが、ほとんどの場合ごく初期の段階で体の防御反応によって処分されてしまい、大事には至りません。


不良細胞=がん細胞

しかし、この不良細胞が体のいろいろな防衛機能をくぐり抜けて体の中で増え始めてしまうものもあります。この細胞は通常の分裂よりも速度が速く、際限なくどんどん大きくなり、周りの臓器などの働きを邪魔するようになるのです。さらに困ったことに、このがん細胞には普通の細胞のように寿命がありません。条件がそろえばいつまでも行き続けるのです。

私たちは20歳代の間に、将来大きくなるガンのタネを1つくらいは体のどこかに持っているといわれています。そのガンになる細胞は発見されるくらいに大きくなるまでにはとても長い時間がかかりますので、だいたい40歳を越えるあたりから多くの人たちの体で見つかるくらいまで大きくなります。

ガンの増え方は、がん細胞群の周りの防衛機構の強さに大きく左右されます。そしてその強さを決めるのが私たちの生活習慣なのです。たとえばストレスの多い人は免疫力が弱いので早くガンが大きく成長してしまいます。さらに、体の老化が進めばカラダの免疫力も弱まりますので、ガン細胞は免疫の攻撃をあまり受けずにどんどん大きくなることができるのです。